2008-01-01

2008年注目科学ニュース去年今年


2007年科学の話題を振り返って(1月〜6月)

1月22日〜:世界の5つのマグロ資源管理機関及びFAO,WWFの関係者が神戸市に集まり,減少するマグロ資源の乱獲防止及び保全に向けた対策を話し合いました。違法操業漁船の監視強化やカツオ漁などでの若いマグロの混獲を減らすための技術の開発の必要性などを盛り込んだ行動方針を採択し,26日に閉幕しました。

2月:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が,『過去半世紀の気温上昇のほとんどが人為的温室効果ガスの増加による可能性が非常に高い』ことを報告しました。2005年までの100年間で世界の平均気温は0.74度上昇,今世紀末までには更に1.8度〜4度の上昇が予測されています。この報告を受け阿部内閣総理大臣(当時)は50年後に世界の温室効果ガスを半減させる「美しい星50」を提唱しました。
しかし実際の温室効果ガスの削減は容易ではありません。1997年,地球温暖化防止京都会議(COP03)で議決された「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書」により日本は,2008年から2012年までの5年間に,二酸化炭素とそれに換算した温室効果ガスの排出量を1990年を基準として6%削減することを求められていますが,2002年時点での実績は1990年よりプラス8%となっており,マイナス6%の実現に向けた目処は立っていません。

3月4日:ヨーロッパ,アメリカなどで皆既月食が見られました。日本では皆既の時間には既に月は沈んでしまっていましたが,中国地方から西の地域では月が沈む直前の僅かな時間,地平線に近いごく低い高度で部分月食が見られました。

4月:植物に花を咲かせる「開花ホルモン」フロリゲンの正体が,奈良先端科学技術大学院大学の島本功教授らによってイネで,及びドイツのマックスプランク研究所のチームによってシロイヌナズナでそれぞれ独自に解明されました。
フロリゲンは1937年に存在が提唱されていたホルモンで,葉で形成された後茎の先端に移動し,花を咲かせるとされてきました。島本教授のチームはイネの開花を促進する遺伝子FT/Hd3aに発光するタンパク質の遺伝子を結合され,産出されたタンパク質の移動を追跡した結果,葉から茎の先端部へと移動することを確認し,このタンパク質がフロリゲンであると確認しました。フロリゲンの量を増やすことで発芽から開花までの日数を短縮することにも成功しています。

4月〜:10歳〜29歳の若年層を中心に麻疹が流行しました。麻疹は麻疹ウィルスによって引き起こされる感染症で,空気・飛沫・接触などによって感染します。38度前後の発熱,倦怠感,咳・鼻水などの風邪のような症状から始まり,一旦体温は下降しますが続いて39.5度以上の高熱となり,鮮紅色の発疹が出現します。通常は約3日で解熱,発疹もその後数日で色素沈着(1〜2週間ほどで消えます)を残して改善しますが,一部の合併症,また合併症がない場合でも重症型や小児の感染では生命に危険が及ぶこともあります。
麻疹の予防には予防接種が必須と言われていますが,日本での予防接種率は高いとは言えず,また接種を受けたことのある人でも2005年以前は1回のみの接種だったため免疫は不十分になりがちで,麻疹輸出国として国際的にも非難されてきました。そこで厚生労働省は今年8月「予防接種に関する検討会」は2012年を目標として国内の麻疹を排除する計画案をまとめ,平成20年度から5ヶ年度間,中学1年生と高校3年生を対象に2回目の予防接種の実施,また流行の状況を正確に把握するため,2008年1月1日から全数調査を実施することとしました。

4月27日:2005年の小惑星「イトカワ」着陸後,イトカワ周回軌道上で地球への帰還のタイミングを待っていた探査機「はやぶさ」がイトカワの軌道を離脱,地球への帰途につきました。
イトカワ着陸後の「はやぶさ」は当初,2007年6月の地球帰還を予定していました。しかし着陸から間もなく,燃料漏れや通信途絶等のトラブルがあり,復旧のためやむなく出発を延期して,次の帰還のチャンスを待っていました。
「はやぶさ」が小惑星の試料採取に成功したかどうかは,カプセルが地球にもどってくるまで分かりませんが,2010年6月に予定される帰還と,試料入手の吉報が今から待ち遠しいところです。

(海外の話題は日本時間で標記しています)