アホウドリ

アホウドリはいったんは絶滅の淵に立ちながら、保護の努力の結果奇跡的ともいえる復活の過程にある大型の海鳥で、個体数はおよそ1000羽にまで回復している。この鳥は19世紀後半までは鳥島や小笠原諸島、尖閣諸島などで大コロニーをつくって繁殖していた。しかし、鳥島で1887年からの15年間に羽毛採取の目的で500万羽以上が捕獲されたのをはじめ、多くの繁殖地で捕獲され、ついに1949年には最後の繁殖地であった鳥島でも消滅したと考えられた。しかしその2年後、鳥島の南東端の斜面の燕崎で10羽ほどが再発見され、その後、徐々に個体数が増加し、さらに尖閣諸島の南小島でも少数のアホウドリの生息が確認された。

鳥島の燕崎のコロニーの巣は比較的急な斜面にあるため土砂が流れ込みやすく、それが原因で繁殖に失敗するケースが多いことが明らかにされた。1980年代前半にはハチジョウススキの移植によるコロニーの環境改善がおこなわれたが、さらに地滑りによる繁殖の失敗や最悪の場合には全滅さえ心配されたため、1990年には大規模な砂防工事もおこなわれた。1993年からは、なだらかで安全な斜面である初寝崎でのコロニーの復活が、デコイと呼ばれる模型と鳴き声放送を使った若鳥の誘導によって試みられ、成功しつつある。

 

移植されたハチジョウススキに支えられ、営巣したアホウドリ
撮影:長谷川 博

 

 

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