大顔展もう−つの見所

ゴリラの筋肉復元

 ゴリラは物静かな類人猿です。ほとんど表情の動きがないように見えます。しかし、よく観察すると、わずかな皮膚の動きで複雑な心理状態を表していることがわかります。それどころか、心を開いてゴリラと見つめあっていると、その眼の奥に人間と同じ感情や知性があることが確信できるくらいです。

 ゴリラが私たちと同じような感情を持っていることは、ゴリラの表情筋が私たちの表情筋とそっくりなことでもわかります。一般に、ゴリラ、チンパンジー、オランウータンなどの類人猿は、顔全体に行き渡って細かく分かれた表情筋を持っています。その結果、複雑な表情が作れるのです。しかし、それをいつも精一杯使うかどうかは、種類によって違います。チンパンジーは表情が派手で、ゴリラやオランウータンは表情が地味です。ヨーロッパ人と日本人の表情の違いとも共通します。

 咀嚼(そしゃく)筋(噛む筋肉)は、ゴリラの方がヒトより10倍も大きいので、ゴリラの顔と頭はずいぶん大きく見えます。ゴリラの顔の骨は決して幅広くないのですが、頬のところにある咬筋が顔の幅を広くしています。側頭筋は頭全体をおおうほど発達して、頭骨の真ん中と後ろにあるT字型に組み合った毎の骨板にくっついています。その割に脳は小さいので、桃の実にたとえるなら、側頭筋が果肉で、脳が種という状態です。

 ゴリラの頭の後ろには、巨大に発達した頚の筋肉がT字型の骨板に付いています。この頚の筋肉は、背中と肩にも続いていて、頭と顔を支える働きがあります。特に、両手に持った太い茎に噛みついて折るような場合に役に立ちます。

 ゴリラの頭骨模型と筋肉復元模型を比べて、さまざまな筋肉の発達具合を確かめてください。

(人類研究部 馬場悠男)

 

左からマウンテンゴリラの頭骨、マウンテンゴリラの筋肉復元型、マウンテンゴリラのイラスト