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カメムシとともに35年

友国 雅章

お知らせ

現在、この研究者によるカメムシのお問い合わせは受け付けておりません。ご了承下さい。

私の研究
私の専門分野はカメムシ類の系統分類学です。
なかでも、グンバイムシ科、ナガカメムシ科、サシガメ科などの仲間を対象に研究しています。
写真1 マルグンバイ
写真1 マルグンバイ
写真2 ツルギマルグンバイ
写真2 ツルギマルグンバイ
なぜ、カメムシか?

私は「昆虫少年」でした。将来は昆虫の研究者になるのが、子供の頃からの夢でした。
1970年に愛媛大学の大学院に進学し、研究者への道に一歩踏み込んだ時に文献で知ったのが、コケに棲むとされていたマルグンバイ(写真1)でした。小さいながらも、細かい網目模様のはねをもったこの虫に強く引きつけられました。さっそく、面河渓(おもごけい)に採集に行き、運良く見つけることができました。そのすぐあと、今度は徳島県の剣山で、これまで知られていない別種のマルグンバイ(写真2)を発見しました。この虫が私の最初の研究テーマになり、後に新種として発表しました。それ以来ずっと、グンバイムシを含めたカメムシの仲間の分類を研究しているわけです。
写真3 Tiarodes miyamotoi
写真3 Tiarodes miyamotoi
今、取り組んでいる研究

いくつかある研究テーマのなかで、今もっとも力を注いでいるのは「アジア産サシガメ科の分類学的研究」です。
この仲間は中国にたくさんの種が棲んでおり、日本や東南アジアのサシガメを調べるには、中国の種との比較が是非とも必要です。幸い、中国にはこの仲間の優れた研究者(彩万志教授)がいました。
彼のほか日本の若い研究者も仲間に引き込み、10数年前から共同研究を行っています。その成果を16編の論文として出版しました。その中で我々が新種または新属として発表したサシガメをいくつか紹介します。(写真3-4)
写真4 Reduvius yaeyamanus
写真4 Reduvius yaeyamanus
写真5 尾瀬ヶ原での調査 (1978)
写真5 尾瀬ヶ原での調査 (1978)
日本のカメムシインベントリー

私にはもうひとつ大きい研究テーマがあります。それは、「日本にどのようなカメムシが、どのように分布しているか」を明らかにすることです。このような研究を最近では「インベントリー」というようになりました。私が研究を始めた頃、日本にはカメムシの分類研究者がごく少なく、日本から知られているカメムシ類も全部で800種に満たないくらいでした。
日本各地で調査をし(写真5)カメムシの目録を作ってきましたが、このような仕事は一人でやってもなかなか捗りませんでした。数人の仲間と一緒に「日本原色カメムシ図鑑」(写真6)を作り、1993年に出版したところ大変好評で、カメムシに興味を持つ昆虫愛好者が増えました。その結果、あちこちで新種や日本未記録種が見つかり、日本のカメムシの種数は著しく増えていきました。今では1,150種ほどになったばかりでなく、毎年新しい発見が続いています。これは「カメムシ図鑑」を切っ掛けに、多くの「虫好き」の力が結集できたことによる大きい成果です。
写真6 日本原色カメムシ図鑑 (1993)
写真6 日本原色カメムシ図鑑 (1993)
展示ポスターはこちらから
友国 雅章(ともくに まさあき)

友国 雅章(ともくに まさあき)

動物研究部

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