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めざせ!! 日本近海産魚類の二生吸虫相解明

二生吸虫は寄生虫のひとつです

二生吸虫類は扁形動物門吸虫綱に属する動物で、脊椎動物の主に消化管で生活する寄生虫です。 体は扁平で、通常二つの吸盤があります。口と消化管をもちますが、多くは肛門がなく消化管は行き止まりです。 ほとんどの種類が雌雄同体で、ひとつの体にオスとメスの生殖器官をもっています。魚類だけでなく、ヒトに寄生する種類も多く知られています。

二生吸虫類はエサとともに取り込まれます

寄生虫のすみかとなる動物を宿主と呼びます。なかでも、大人の寄生虫がすんでいる宿主(ここでは魚類)を終宿主とよびます。 寄生虫は魚類の体内で卵を産み、卵は海中に出て孵化します。幼生は自力で泳いで巻貝類の体内に入り、発育して数もふえると再び泳ぎ出て、 今度はいろいろな種類の動物の体内に入りさらに発育します。このように、寄生虫が発育するための宿主を中間宿主と呼び、 二生吸虫類はふたつの中間宿主をもっているのが普通です。第2中間宿主が終宿主に食べられると、いよいよ大人になります。

寄生虫はここがおもしろい

寄生虫は、生活の場や生きるためのエネルギーなど、多くの部分で宿主にたよっています。そのため、寄生虫の分布は宿主となる動物の分布に大きく支配されます。 しかし寄生虫には、終宿主を乗り換える(宿主転換)ことで分布を広げていくという現象がよく見られます。一方、特に二生吸虫などは複雑な生活史をもつことから、 環境の影響を受けやすく、分布を広げる妨げになる要素はむしろ多そうに見えます。寄生虫の分布拡大や多様化のメカニズムはいったいどうなっているのか。 寄生虫を調べるおもしろみのひとつです。

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倉持 利明(くらもち としあき)

倉持 利明(くらもち としあき)

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