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分子情報と分類学の統合研究により明らかになったこと
 - クモキリソウ属の例

図鑑も多数出版され、すべて明らかになっているかのようにみえる日本の植物でも、まだまだわからない、混乱している植物がたくさんあります。その1つクモキリソウ属の研究を紹介します。

クモキリソウ属

ランの仲間で、日本でも20種弱が知られています。中でも、クモキリソウやスズムシソウの分類が大変混乱しています。分子情報と分類の研究 から、明らかになった2新種を紹介します。

別な植物と勘違い!オオフガクスズムシソウ

■植物の名前のルール

植物の名前は、生きた株に基づいているのではありません。右図のように「基準標本(陸上植物の場合はふつう押し葉標本)」とその特徴を記した「記載文」に基づいています。基準標本や記載と特徴が一致する植物を同じ名前で呼びます。

■別な植物と勘違い!

オオフガクスズムシソウという植物は、以前はコウライスズムシソウ(Liparis koreana)と呼ばれていました。しかしLiparis koreana の基準標本と比べると、両者は異なることが明らかになったのです。

■明らかになった「新種」

オオフガクスズムシソウは、他のいずれの種とも異なることから、新種オオフガクスズムシソウ(Liparis koreojaponica) として発表しました。
(写真:オオフガクスズムシソウ(右)は、コウライスズムシソウ(左)より大きく、花はまばらにつき、葯帽(やくぼう)の先端が長く伸びない。コウライスズムシソウは、葯帽や花の特徴からスズムシソウの近縁種と考えられる。)

分子情報で裏付けられた新種シテンクモキリ

タイヘイヨウアカボウモドキシテンクモキリは、一見しただけではクモキリソウとよく似ており、クモキリソウと別種か否かあいまいでした。しかしDNA 情報を比較した結果、両種はスズムシソウとクモキリソウくらい異なることが明らかになりました。
(写真:シテンクモキリ (Liparis purpureoivittata) 北海道〜本州の明るい林床や湿地に生育する。クモキリソウと比べると 花の色や形、萼片(がくへん)の巻き方などのかたちも異なる。)
展示ポスターはこちらから
堤 千絵(つつみ ちえ)

堤 千絵(つつみ ちえ)

植物研究部