動物研究部

寄生蠕虫(キセイゼンチュウ)(扁形動物・袋形動物)

扁形動物門の単生綱、吸虫綱、条虫綱と袋形動物門の鉤頭虫綱に属する生物はそのほとんどが寄生性です。また、袋形動物門線虫綱は多くの自由生活種と寄生種とからなります。これらの分類群に含まれる寄生生物を総称して寄生蠕虫と呼ぶことがあります。

当館所蔵の寄生蠕虫標本は、前動物研究部長、町田昌昭博士(1968〜1997年在職、現在当館名誉研究員)が採集した海産魚類寄生蠕虫コレクションにその基盤をおいています。町田博士は日本国内だけでなく、東南アジア諸国をはじめとした諸外国に広くフィールドを求め、精力的に標本収集と分類を行いました。最近では1993年以来行われている当館の深海動物相調査により、駿河湾産深海性魚類から採集された新種を含む標本が新たに加わり、コレクションの一層の充実が図られました。一方、陸上動物の寄生蠕虫標本では、その中核を成すものに荘保忠三郎博士(兵庫県宝塚市)により寄贈された数百点に上るセタリア属線虫標本があります。

寄生蠕虫の所蔵標本はタイプ標本も含め約10,000点を数えます。1987・1991年には日本産タイプ標本カタログを発行しました。現在も精力的な収集活動を展開しつつ、国内外からの標本登録や標本貸与の依頼に対応する一方、所蔵標本および寄生蠕虫の分類に関する数千点に上る所蔵文献のデータベース作成に向けて準備中です。

駿河湾産深海魚寄生の吸虫1
駿河湾産深海魚寄生の吸虫1

駿河湾産深海魚寄生の吸虫2
駿河湾産深海魚寄生の吸虫2