植物研究部

微小藻類
 淡水藻類の多くは顕微鏡的な大きさで、自然では多数の種類が混ざって生育します。そのため個体や種類ごとに採集はできないので、野外では何百何千個体が混ざった状態で採集して、20mlの標本瓶に入れ、フォルマリンを加えて固定します。標本瓶は、通し番号をつけて採集記録と対照できるようにして、液浸標本室に専用の箪笥に入れて保管されています。

 標本は日本各地の湖沼や湿地からの採集品約3400点と、830点のヒマラヤの採集品と、470点のパプア・ニューギニアの採集品からなっています。

 ヒマラヤの標本の研究は渡辺眞之(元 当館植物研究部長)をはじめとした研究者によって進められており、これまでに8編の論文にまとめられ、17の新種を含む、延べ202種が報告されています。パプア・ニューギニアの標本の研究は渡辺眞之と共同研究者によって進められており、これまでに4編の論文にまとめられ、2新変種を含む、延べ138種が報告されています。1新種と1新変種を含む80種のチリモの研究論文が投稿中です。

 淡水藻類は顕微鏡的な、小さな生物で、分類形質に乏しいグループを多く含んでいます。種子植物においても花を観察しないと分類や同定ができない場合が多いように、まして栄養体の形態学的特徴に乏しい微小藻類においては生殖細胞の形や生殖方法の観察なしには属レベルの同定すらできないことが多いのです。そのために野外で採集した試料を分離・培養して生活環を継続的に観察をするために植物研究部棟には培養室を設置し、長期にわたって生きた状態で保存して、様々な新しい方法での研究に備えるために藻株保存室が設けられています。
液浸標本タンス
液浸標本タンス

藻株保存室
藻株保存室