植物研究部

菌類
 筑波地区の植物研究部棟3階の標本室には接合菌類、子嚢菌類、担子菌類および不完全菌類の乾燥標本が収蔵されています。また5階の標本室には最近偽菌類と呼ばれるようになった卵菌類およびサカゲツボカビ類および本来の菌類とされるツボカビ類が収蔵されています。標本点数は約21万点です。これらの一般標本は規格の紙袋か紙箱に収納しています。その他に、プレパラート標本、大型のキノコ標本、液浸標本(冬虫夏草などのタイプ標本を含む)などがあります。当館の菌類標本には多くのタイプ標本や重要コレクションが含まれます。未整理標本の整理が進み、また新たに新種を報告した研究者からの当館への寄託があって、タイプ標本の数も年々増加し、平成8年のタイプ標本は1,726点でしたが、平成10年現在1,928点に達しています。

 重要な標本コレクションとして、安田篤(日本産菌類の研究の草分け時代のおもにキノコの標本)、原摂祐(植物病原菌類を含む微小菌類)、白井光太郎・草野俊助(植物病原菌類を含む微小菌類)、沢田兼吉(台湾産菌類)、西門義一(植物病原菌類および19世紀ヨーロッパの歴史的エキシカータ類)、富樫浩吾(主として樹病菌類)、本間ヤス(主としてウドンコカビ)、今関六也(主としてサルノコシカケ類)、小林義雄・清水大典(冬虫夏草他)、本郷次雄(ハラタケ目),大谷吉雄(主としてチャワンタケ類)、野村幸彦(主としてウドンコカビ)、土居祥兌(主として肉座菌目)などの各研究者によって収集された標本があります。 当館植物研究部職員による海外調査で収集された外国産の菌類標本も着実に増加しています。その主なものは、パプア・ニューギニア産菌類、北米アラスカ産菌類、南米産菌類、ニュージーランド・タスマニア産菌類、ニューカレドニア産菌類、中国産菌類、ネパール産菌類などで、これらの標本は、日本産菌類の分類のための比較研究に大変有益です。

 当館の「日本列島の自然史科学的総合研究」は1968年に開始されて以来30年を経過し、本調査によって採集・集積された菌類標本は量的・質的に相当量に達しています。例えば香川県のよく保存されたカシ・シイ林などが菌類にとって大変興味深い植生であることがこの調査によって判明し、今まで当館に保存されていなかった香川県産の標本もかなりの数が集積されました。当館の植物研究部には菌類標本コレクションの他に、図書や原画のコレクションがあります。その主なものは、江本義数文庫、小林義雄文庫、富樫浩吾文庫(横浜国立大学からの永久貸出)、天野幸治文庫、川村清一原画コレクションなどです。
紙袋標本の整理状態
紙袋標本の整理状態


日本の菌学を世界に認めさせる端緒を担った草野俊助のシンキトリウムの研究の最初の採集標本
日本の菌学を世界に認めさせる端緒を担った草野俊助のシンキトリウムの研究の最初の採集標本

レッドデータブックで絶滅危惧種にリストされたHypocrea splendens
レッドデータブックで絶滅危惧種にリストされたHypocrea splendens

川村清一原画「メシマコブ」
川村清一 原画「メシマコブ」