測 定 部 位





下顎の標準的な測定部位を左に図示する。

1.頤長:吻端から頤後端 (a, HL)
2.冠部長:吻端から冠後端 (b, CR)
3.嘴刃長:吻端から顎角 (c, LR)
4.側板長:吻端から側板後部端 (d, WL)
5.翼長:顎角から翼先端 (e, WL)
6.基準長:翼先端から側板後部端 (f, BL)
7.顎角度:嘴刃と翼歯のなす角度 (g, JA)
8.側板角度:正面から見て側板のなす角度 (h, LWA)

 通常、大型の顎板はキャリパー(ノギス)を用いて測定する。また、小型の顎板は双眼実態顕微鏡とマイクロメーター、あるいは測微計などを用いて測定をする。また、角度は分度器を利用する。

 但し、顎板は立体的な構造をしているため、観察する角度、向きによって見た目がかなり異なる。また、胃内容物からの顎板は、側板や翼状部の外縁が破損しているものが多く、基準となる観察位置、測定面を定めることが困難である。特に、小型の顎板を顕微鏡下でピンセットなどで支持しながら測定する場合は測定誤差が大きくなる。

 そのような場合、側板角度を測定した後、顎板を頤、冠部で左右2つに切断する。よく切れるハサミの片刃を、側板の間に差し込み、冠部後方から吻に向かって切っていくと、容易に切断される。但し、大型の下顎では、最も硬い吻部が正中線で切れない場合がある。その時は、先端部の残っている方を観察、計測に用いる。このように左右に切り分けると、平たいシャーレの中で、上顎の内側、外側とも、容易に観察面を得ることができる。また、測定にあたっても、基準面を定めやすい。

 本マニュアルの種基礎表では、各々種につき下顎の前方観、上方観、側方間、斜方観の他、可能な限りこの切断面の内側観、外側観を示した。


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