顎板の各部位名称と特徴




 顎板は,一般にカラス・トンビと呼ばれているように下顎と上顎がらなる.上顎は長く鋭い嘴と大きな頤をもち,翼状部は小さい.一方,下顎は逆に太く短い嘴と小さな頤をもち,大きく長い翼状部が両側に張り出している.
 上顎と下顎はほぼ相似形で,各部位の名称も共通している.吻のほうが前,冠部のほうが後ろ,また頤のほうが外側,翼部のほうが内側である.

1.吻から内側に,嘴刃と呼ばれる鋭いリッジが続き,翼の張り出しとの境で角度をなす.この角度を顎角と呼ぶ.

2.翼の付け根は盛り上がり,翼刃隆起と呼ぶ.翼刃隆起の内側の短いリッジを翼歯と呼ぶ.

3.冠部は左右の側板が合わさり,上顎ではアーチ状,下顎では尾根状を呈する.

4.下顎の側板には,吻から後方に向かって,畝あるいはリッジ状の側板隆起が走ることがある.


 顎板による種査定を行う場合,上顎,下顎両方を用いることが望ましいが,上顎と下顎を比べると,下顎のほうが構造的に複雑で,種の違いを検討するのに適している.また,胃内容物では上顎と下顎が分離していることが多く,どれが対を成すのか調べることは困難である.したがって,本マニュアルでは下顎を主に用いることにして,上顎は特に特徴的なものについてのみ取り上げることにした.

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