胃内容物の固定・保存に関する注意




マッコウクジラ第1胃内容 (撮影:田村 力・日本鯨類研究所)
真中の外套膜はニュウドウイカ
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 胃内容物解析に用いられる資料は,標本全体あるいは胃袋だけ取出された状態で,冷凍あるいはすでにホルマリン固定されて,研究室に持ち込まれる.

冷凍標本に関しては,解凍後生物測定(体長・体重など)を行い,切開して胃袋をとりだし胃袋重量を測定する.さらに胃壁を切開し胃内容物を取出すが,解析にあたってはホルマリン固定(10%前後)したほうが観察しやすい.しかし,ホルマリンは炭酸カルシュウムを脱解する作用があるので,長期にわたり胃内容物をホルマリン溶液中に保存しておくと,イカ類の平衡石や魚類の耳石といった,種査定に重要なパーツが消失してしまう.そのため,すでに固定されて送られてきた資料は速やかにエチルアルコール(70−80%)かイソプロピルアルコール(40−50%)に移し替えるべきである.また,冷凍資料をホルマリン固定する場合でも,一昼夜前後固定した後,アルコールに移し替えたほうがよい.

 また,胃内容物をいれた保存容器には,胃袋を取出した動物名,採集日時,採集地点,採集方法,生物測定値(体長・体重など)を耐水紙に鉛筆で記入したラベルを必ず入れておくことを忘れないようにする.

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