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大森式地震計

 大森房吉(1868〜1923)が1898年頃につくった地震計。それまでの地震計が地震動を感知してから動き出すという欠点を改めて、常に動いて連続記録ができる地震計として登場しました。真鍮板で覆った鉛の重りを鉄の棹に取りつけ、これを根もとのピボットと鋼の吊り線で支持して水平振子にしています。いろいろな改良型がつくられるうちのこれは振り子の形が簡単なプロトタイプの大森式で、振り子の質量は7kg、周期は10秒以上、記録の倍率は20倍前後です。記録は煤書式で、記録紙を巻いたドラムは重りまたはゼンマイを動力にしてゆっくりと回転します。観測を始めるとすぐにアラスカで起きた地震がとらえられ、地震学者大森房吉の名前はこの地震計とともに世界に知られるようになりました。この水平動地震計のほかに大森式上下動地震計というものもありました。日本の代表的地震計で、大学はもとより、気象台・測候所の観測、さらに外国でも使われました。