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グレイ−ユーイングの上下動地震計

 トマス=グレイとユーイングが考案した振り子を用いた上下動地震計です。重りをそのままバネで吊るのではなく、棹の先に重りを取りつけ、重りの反対側にある支点近くで棹よりも下げたところをバネで吊ることにより、固有周期の長い振り子をつくることができます。この形式の上下動振り子はグレイ−ユーイング型またはユーイング型といって、現代の地震計に至るまで多くの上下動地震計に使われています。このグレイ−ユーイングの上下動地震計は後に作られた大型のもので、渦電流を利用した制振器(※)が棹の先についています。地震計に制振器がつくようになるのは、その発明から四半世紀をすぎた20世紀にはいってからのことです。

※制振器:速度に比例するような力を振子に及ぼす。これによって振子の共振が押さえられる。また制振器の働きの強さを変えることでさまざまな特性の地震計を作ることができる。初めのころの地震計にはこれがついていなかった。