オニヤブソテツ類の繁殖戦略と種分化

トップ基本的4型4型の分布形態的特徴生殖システム無融合性複合体のゲノム分析種分化

オニヤブソテツ類4型の生殖システム

1.

同形胞子シダ類に見られる一般的生殖システム(生活環)で、n、2nは核相を示します。破線と( )の核相はその有性生殖環からはずれた無配生殖のもの。
オニヤブソテツ類にはすべてみられ右の図に解説します。

2.自殖(self)と他殖(cross)

2-1.造卵器と造精器の混在型と分離型の形態

ミズゴケ培地などで配偶体をゆっくり育てると、造卵器の近くに造精器を形成する混在型と離れた仮根の位置か別の配偶体に形成する分離型を区別できます。A1型は混在型の頻度が高く、A2、C型は分離型です。

2-2.単離培養による自殖型と他殖型

バーミキュライト培地でほぼ1年間培養した結果、混在型のA1型は胞子体を100%近く作る自殖(self)型です。
分離型は胞子体がほとんどできないか、良くできても胞子体形成が1ヶ月以上遅れるので、他殖(cross)型としました。

3.無配生殖型(B)

非減数性胞子と非受精胚をつくることが特徴です。胞子嚢中の胞子数が64個の代わりに32個なのは、胞子母細胞形成で一回細胞質の分裂がおこなわれず核内容が倍(4n)になるためです。配偶体では造卵器ができず、胚(無胚芽)が直接形成されます。この形質は雑種の減数性胞子由来の分離比から、1遺伝子に支配されていることがわかりました。
A2やCのような他殖型は近くに胞子が2個以上落ちないと子孫を残せない場合が多い。自殖型のA1や無配生殖型のBは1個の胞子で子孫を残せます。A1やB型は攪乱される不安定な環境にすばやく進入することができ、分布の拡大も容易です。

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