オニヤブソテツ類の繁殖戦略と種分化

トップ基本的4型4型の分布形態的特徴生殖システム無融合性複合体のゲノム分析種分化

はじめに

南北に連なる日本列島を進化の実験場と考え、そこの亜熱帯から冷温帯まで広分布する海岸性のシダ、オニヤブソテツの細胞学的4型を中心に調べた結果、他殖性から自殖性(無融合生殖を含む)への進化と2種類が結合して形成される異質4倍体や無融合性複合体などの網状進化による分布や変異の拡大がわかリました。日本列島を舞台とした種分化の1例を紹介します。
  
自然史の分類単位は種ですが、それがいかにして生ずるかを理解し、また島国日本の海岸植物のダイナミックな適応戦略と繁殖戦略の関係は「性」がなぜあるかを考えるヒントにもなります。無融合生殖の遺伝は優性の1遺伝子で支配されていると推定されたので、この遺伝子が取り出され農作物に取り込めたら雑種不稔であったものから種子が取れるようになるので品種改良に大きく貢献します。このように分類学だけでなく、生態学、生物学、農学分野にも関連があります。