総合研究

分野横断的な総合研究の推進

 これまで蓄積されてきた基盤研究等の成果,並びに現下の状況や政府方針等を踏まえ,研究期間を定めて行う総合研究を実施する。 総合研究においては,分野横断的なテーマについて研究を実施し,国内外の研究者・研究機関等とも共同して研究を行う。

博物館・植物園資料を活用した絶滅寸前種に関する情報統合解析

 当館並びに全国の博物館・植物園の所蔵する標本資料から絶滅寸前種を抽出し,一次情報をデータベース化するとともに,生息状況や生物学的特性の解析を行う。また,これまで絶滅危急度が明らかになっていない生物群について,希少性の評価手法の確立を目指した研究を行う。さらに,特定の分類群について,遺伝的多様性,種の実体,繁殖様式,生物間相互作用,共生系,生態的地位,希少性の成立過程等,保全に不可欠な生物学特性を解明する。

ミャンマーを中心とした東南アジア生物相のインベントリー
−日本列島の南方系生物のルーツを探る− 

 ミャンマーを中心とする東南アジア地域で,植物,菌類,藻類,地衣類,動物,人類各分野の連携によるインベントリー調査を現地の林業・環境保全省等との共同研究として実施し,標本資料,DNA 解析用サンプルなどの収集を通じて,未記載種の記載を含む種の多様性の解明に貢献する。また,日本との共通分類群を抽出し,それらの形態や遺伝的解析を行って比較を行うことで,東南アジアを起源とする生物群の形態,生態,遺伝的分化を明らかにし,日本の南方系生物相の成り立ちを解明する。

化学層序と年代測定に基づく地球史・生命史の解析

 地層の年代や堆積時の環境を知るために,当館の標本資料や新たな収集資料を用いて酸素,炭素,ストロンチウム,鉛などの同位体比分析を行う。また,生物を絶滅させた巨大隕石衝突や超巨大火山噴火の良い指標となる白金族元素(白金,イリジウムなど)やオスミウム同位体比の分析方法を確立し,今後の自然災害を予想する上での基礎データを提供する。

黒潮に注目した地史・生物史・人類史

 海底堆積物のコア標本や陸上堆積物の理化学分析を行い,更新世における黒潮の流路変動・流速を推定する。この知見を反映しつつ,黒潮による軽石の分散と,それに伴う生物分散,熱帯・亜熱帯起源の海洋生物の分散経路,海棲哺乳類の来遊実態の解明,海峡の分断が植物地理に及ぼした影響,琉球列島における人類移住史等の解明を進める。

我が国における科学技術史資料の保存体制構築に向けた基礎的研究
−現存資料の保存状況とその歴史的背景−  

 自然科学及び科学技術の発展上大きな業績を上げてきた,日本を代表する国公立研究機関及び大学を分野別のカテゴリーに分け,代表的な歴史的資料を選定し,歴史的意義,保存上の特性,伝来の経緯等を明らかにする。調査結果を基に,失われた資料群について考察し,今後の組織的資料保存に向けて指針となる基礎データを提供する。

日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究

 当館等で保管する標本資料のデータベースの作成と解析によって,日本国内の生物多様性ホットスポットのうち,主な国立公園を中心とした地域の生物相全体の中から,その地域に固有の生物相を抽出し公開する。また,分子系統解析や古生物学的情報等の収集を行い,生物多様性ホットスポットに固有の生物相が形成された要因を解明する。

過去のプロジェクト研究