基盤研究

標本資料に基づく実証的・継続的は基盤研究の推進

 自然史に関する科学その他の自然科学及びその応用の研究における世界の中核拠点にな ることを目指し,研究に必要な標本資料を収集・充実し,それに基づき組織的に目標を掲 げて行う実証的・継続的な研究として基盤研究を実施する。

動物研究分野

インベントリー構築が遅れている分類群を中心に調査を行い,分類学的研究を推進することで,生物多様性の保全を目的とした動物インベントリーの構築を目指す。あわせて,各分類群におけるインベントリーの達成度を評価する。さらに,それぞれの種の消長を時系列的に解析することで,環境変化との関連を明らかにし,種の保全につなげる。同時に,形態と分子に基づく系統解析,多様性の解析を行い,それぞれの種がおかれている現状を環境との関連で解明する。

植物研究分野

動物以外のあらゆる真核生物と一部の原核生物を対象として標本資料を収集し,各標本について,形態,生態,二次代謝産物を中心とした物質代謝・生理,DNA 配列を基本とした分子系統等,様々な情報を収集し,それを基に維管束植物,コケ類,藻類,地衣類,菌類の分類学や進化学的な研究及び多様性の解析を行い,さらに,顕花植物について環境との繋がりに注目した絶滅危惧植物の保全のための研究を行うことにより,日本の生物多様性の解明及び保全の基礎的な資料を蓄積する。

地学研究分野

プレート上の岩石と鉱物の調査・同定・記載を行う。特に海底部における時間的・空間的分布を解析して,日本列島の形成過程の理解を進め,造山活動等の地球の動的進化の解明を図る。また,アジアの中〜新生代軟体動物の時空分布,国内の新生代湖沼珪藻の生物地理の変化,微化石群集や地球化学分析から海洋環境変動に焦点を当てる。中生代爬虫類・新生代哺乳類化石を対象とし,系統進化を基礎とした分類学,生物地理,地球化学の手法で生活史,生息環境,食性の復元に焦点を当てる。新生代植物化石を対象に分類学的・古生態学的検討を行い,古植生とその変遷を明らかにする。

人類研究分野

古人骨のゲノム研究では,縄文を中心とした列島各地の人骨からDNAを抽出し,次世代シークエンサを用いた網羅的なDNA分析を行う。特にミトコンドリアDNAに関しては全塩基配列を決定し,系統分析を行う。列島の各時代・地域のゲノムデータを蓄積することで集団の形成に関する新たなシナリオの完成を目指す。また,旧石器人骨に関しては,CTスキャンと3Dプリンタを用いた研究を進め,形態研究からも従来説の再検討を行う。さらに,発掘された多数の江戸時代人骨の病変やストレスマーカー,死亡年齢を調べることで,この時代の人びとの健康状態や公衆衛生面に関するデータを集め,健康面での実体を明らかにする。

理工学研究分野

今後の日本の科学技術の発展を考える基盤を提供するため,科学技術史及び宇宙・地球史双方の資料を継続して収集するとともに,これまで蓄積してきた資料について,3次元データ化等を進め,復元や複製により博物館活動に広く活用できるようにする。また,博物館や研究機関等に残された過去の観測データを収集して現代的な手法で解析する。さらに,日本の産業技術の発展を示す資料,特に散逸・消失の危険のある資料について,関連する工業会・学会等と協力して分野ごとに所在調査及び系統化調査を行うとともに,調査結果をデータベースに蓄積・公開する。その中で特に重要な資料を「重要科学技術史資料台帳」に登録する。