リーフラー天文時計


 リーフラー天文時計は、ドイツのジグムント・リーフラー(1848-1912)が1891(明治24)年に開発した、精度の高い振り子時計です。

 1889(明治22)年にリーフラーはグラハムの直進脱進機に改良を加え、板バネで振り子とアンクルを直結し、停止、衝撃それぞれの役割を持つ2つの歯車を合わせた特殊なガンギ車を用いて、高性能の脱進機を開発しました。この脱進機は、振り子をほとんど自由に振動させる脱進機という意味で自由脱進機と呼ばれました。彼は、自由脱進機に鋼管を利用した水銀補正振り子を組み合わせて高精度の天文時計を製作し、1891(明治24)年に第1号機をミュンヘン大学天文台へ納入しました。さらに1897(明治30)年にはインバールを利用した温度補正振り子を開発し、精度をさらに高めましたが、この時計の精度は機械式振り子時計としては最高の日差1/50秒に達しました。その後、水晶時計や原子時計の出現によってその場を奪われましたが、1956(昭和31)年までに635台のリーフラー天文時計が製作されました。

 写真の時計は、昭和初期から約30年間、旧東京大学東京天文台(現国立天文台)の報時室で中央標準時のマスタークロックの1つとして使われていたリーフラー天文時計で、1927(昭和2)年、クレメンス・リーフラー製、製造番号484号の刻印があります。時計全体は、下部の鉄の筒と上部のガラス容器で密閉されていますが、真空ではなく100mmHgほど減圧して約660mmHg程度で使用します。これは、使用時の気圧の変動の防止が目的ですが、調整時にはポンプで気圧を加減して振り子の浮力を加減し周期を微調整する目的もあります。文字盤上の三日月型の小窓から見える小さなローラーは時計駆動用の重りで、電磁石を使った自動巻き上げ機構が付いています。巻き上げの間隔は15秒程度ですが、繰り返し巻き上げは長時間では精度向上に効果があります。


リーフラー天文時計(時計全体)


時計機械部分(中程左寄りの小さなローラーが動力の重り)


脱進機部分(特殊ガンギ車とメノウ製アンクル)