遺伝子の研究をする大阪大学微生物学研究所の品川日出夫教授は、田中さんが開発した分析機器について「生命の辞書の逆引きを可能にした技術だ」と絶賛しています。2003年に一旦完了宣言が出されたヒトゲノム解読の結果、病気や体質に関連するさまざまな遺伝情報が明らかにされましたが、一方ではたらきのわからない遺伝子も多く残されました。もし、はたらきのわからない遺伝子から作られたタンパク質の方からその性質や役割を突き止められれば、逆に遺伝子の情報を明らかにできるかもしれません。また、これまで解析できなかったようなごく微量のタンパク質の解析も可能になり、新しい薬の開発や病気の診断、予防に役立てられることも期待されています。
 田中さんと同時に化学賞を受賞し、賞金の半分を授与されることになったクルト・ビュートリッヒ博士は、NMR分光法とよばれるやり方を用いてタンパク質のような高分子の立体構造を決定する方法を開発したことが評価されました。また同じく化学賞を受賞し田中さんと賞金の4分の1ずつを授与されたジョン・B・フェン博士は、「エレクトロスプレーイオン化法」という田中さんとは別の方法でタンパク質のイオン化を行う質量分析機器を開発した研究者でした。