国立科学博物館には430万点を超える生物標本が収蔵されています。これらの標本は形態形質の観察を主な目的として保管されてきたため、乾燥標本や薬品中に保存されている液浸標本が多くを占めています。長期保管されてきたこのような標本は、DNAの取得が困難な場合がほとんどです。一方で、現代の生物多様性研究においてはDNA配列情報を日常的に使用しています。そのため、DNAを取得可能な標本・試料を収集・保存することも、当館の重要な任務の一つとなってきました。
分子生物多様性研究資料センターは、同一の個体に基づく生鮮標本から切り取った組織サンプル・抽出DNAサンプル・DNA配列情報・証拠標本を、研究部と連携して統括的に収集・保管し、生物多様性研究を発展させることを目的として2006年7月に設立されました。